『太陽はひとりぼっち』
製作年:1962 製作国:イタリア、フランス 配給:ヘラルド 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ 出演:モニカ・ヴィッティ、アラン・ドロン
結婚に郷愁は感じないの、と彼女は言った。
死んだ魚の目をしている。広すぎる海を自由に駆ける魚の目は見たことないけれど、あの時も、その時も、ヴィクトリアの目は死んだ魚の目をしていた。そんな目には旗の揚がらない旗竿が良く似合う。カン、カン、カンと乾いた音がする。
とにもかくにも、始まりには終わりが寄り添い、プロローグはエピローグへと続く。急ぐ。
いつまでも完成しないコンクリート(ジャングル)マンション。その眺めにはいつものコーヒーと角砂糖を。
ところで、首を伸ばして結末を知りたがる金持ちと貧乏人には、絶対に溶けないダイヤの飴玉を投げ付けて宣誓。
「明日も明後日もその次の日も。そして今夜もまた会おう!」
ハロゲンライトが高速道路を照らす今夜、ヴィクトリアは海へ帰る。約束は永遠に果たされず、終わりは回避されたのだった。
私たちにはハッピーエンドもアンハッピーエンドもいらない!いらない!いらない!
さあ、約束しよう。明日も明後日もその次の日も、そのまた次の日も。そしてもちろん今夜も!いつものところで8時だよ!