『ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。』no.2

 急いで戻り、車はちょっと離れた所に停めてみた。
そこから歩いて家まで行く。恐る恐る裏口を開けると・・・何てことはない、誰も起きてないみたいだった。
 なるべく静かに二階へ上がり、免許証と、ついでにティッシュケースを取ってからもう一度家を出た。走って車に戻り、エンジンをかける。

 再度解放感。そして安心感。
あたしはやっと自由を手に入れた。

 さて、ここまで書いたところで、読者は・・・読者なんているんだろうか?まぁいいや・・・読者はこれがどんな話なのか全く分からなくてイライラしてるだろう。今ここでこの話のあらすじを書いちゃってもいいんだけど、それじゃ面白くないと思うので、まずはあたしの生い立ちでも。そして話は読んでいけば進む。それは歩けば景色が変るのと一緒。ただ一つだけ言ってしまうと、あたしは今これを、ある島で書いている。
 さぁ、とにかくあたしの生い立ちだ。

 あたしは日本は九州宮崎の田舎で生まれた。そしてそれは生まれただけ。母親は実家のある宮崎であたしを産むと、すぐに旦那、つまりあたしの父親のいる福岡へ帰った。だからあたしは宮崎生まれ、福岡育ちなのだ。
 あたしは生まれてから9ヶ月で立って歩いたらしい。これはなかなか早い。急速な進化だった。その後も順調に育ち、幼稚園は泣いて嫌がり、自転車に乗れるようになってからは一人近所を徘徊して回った。
 小学校、中学校ではギャングエイジをそこそこに謳歌。友達は少ないほうだったと思う。
 高校は学区の中でも二番目に頭のいい学校に入学、バレー部に入った。背が高かったから勧誘され、断れなかっただけだったのだ。
 高校が進学校だったため、何の迷いもなく大学受験をし、地元の大学になんとか受かった。
 ちなみに兄弟は一人、二つ離なれた真似したがりの弟がいる。両親は共に健在。神経質な母親に大雑把な父親。意外と仲はいい。
 と、これがあたしの歴史概略。この話が始まるとき、あたしは大学入学待ちの何でもない状態だった。

to be continued...