ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。

『ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。』no.4

ダッシュボードの照明に酔いながら運転している。あたしは頭の中で自分史を垂れ流す。あたしが今までやってきた良い事、悪い事。あたしが今まで出会った人。別れた人。楽しかった事。辛かった事。 走馬灯のようだった。あたしは死ぬのかしら?走馬灯がぐるぐ…

『ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。』no.3

何でもないということは、逆に言うと何にでもなれる可能性があるということだ。そして、あたしは何かになるために大学に進学することになっていた。 あぁ、何て言ったら一番しっくりくるのか分からないけど、その時あたしは、あたしの未来に希望と絶望の二つ…

『ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。』no.2

急いで戻り、車はちょっと離れた所に停めてみた。 そこから歩いて家まで行く。恐る恐る裏口を開けると・・・何てことはない、誰も起きてないみたいだった。 なるべく静かに二階へ上がり、免許証と、ついでにティッシュケースを取ってからもう一度家を出た。…

『ニシムクサムライ、ヒガシムクアタシ。』 no.1

土曜の深夜2時、バイトが終わってから、家に戻って何気なくお風呂に入ってから、家族が寝てしまってから、あたしは誰にも気づかれないようにそっと家を出た。うちには三台の車がめちゃくちゃに停めてある。あたしが使える車を出すには手間がかかって、一度…